アロマテラピー検定・資格の認定、学術調査研究の実施

アロマの研究・調査

アロマテラピー学雑誌 Vol.3 No.1 (2003)

総説

クローブオイルの歯科的効果とその歴史

著者名 千葉栄一
文献名 アロマテラピー学雑誌3(1)1-6 (2003)

本総説は、歯科医学における2大疾患の1つである、う蝕の治療に用いられている、クローブオイルをテーマに取り上げた。
初めに、クローブオイルが歯科臨床の中で、どのように使用されているかについて解説し、さらにう蝕以外の応用範囲についても述べた。
次に、クローブ並びにクローブオイルを用いた歯科治療の歴史について、我が国の文献を初めとして、中国医学、イスラム医学、ヨーロッパの伝統医学の記録をたどり、解説した。その結果、う蝕の治療に使用され始めたのは、1000年以上も以前からであることなどを明らかにした。

キーワード

クローブオイル、う蝕、歴史

原著論文

精油の安全性に関する研究(3)光学活性リナロール含有精油の微生物生育阻害について

著者名 野田信三、村井田亜美、寺井規哲、岡崎渉
文献名 アロマテラピー学雑誌3(1) 7-10 (2003)

dl-Linaloolとその光学異性体を含有するCoriander oilとHo oilが微生物の生育に及ぼす影響について検討した。
試験用微生物としては、皮膚常在菌3種(Candida albicans、Saccharomyces cerevisiae、Streptomyces griseus subsp. griseus)、大腸菌IFO3972と枯草菌JCM2449、界面活性剤由来菌5種(Enterobacter sp.G42、Serratia sp.A3、Acinetobacter sp.K2、Corynetobacterium sp.G01、Bacillus sp.G21)を用いた。精油の香りすなわち揮発成分については、寒天培地に各菌種をそれぞれ塗布し、揮発成分が直接当たるようにして32℃で培養した。また、精油そのものの影響についてはペーパーディスクを用いた溶液法により評価した。
その結果、皮膚常在菌である酵母に対して、光学異性体による微生物生育阻害への影響が認められ、d-Linaloolに対してl-Linalool の生育阻害が高いことが示された。また、酵母以外の微生物では2種の界面活性剤由来菌を除いてLinaloolによる生育阻害は認められたが、異性体による差異は認められなかった。

キーワード

精油、生育阻害、芳香、皮膚常在菌、光学活性リナロール

フルボディトリートメントによるアロマテラピーの心理的効果 ―性格特性を考慮した検討―

著者名 山田久美子、森本俊子、岩城都子
文献名 アロマテラピー学雑誌3(1) 11-18 (2003)

フルボディトリートメントの生理面、心理面への効果を、血圧、脈拍の測定及び標準化された心理尺度などを用い、性格特性や香りの種別も含め検討した。不定愁訴を有する21~38歳の女性33名を対象として、3種の香り(精油)より対象者の嗜好で選ばせた1種をホホバ油30mlで1%濃度に希釈し、施術を行った。施術前後で気分評定(POMS)、状態不安(S-STAI)、血圧及び脈拍を測定、同時にTEGと特性不安(T-STAI)により性格特性などを評価した。
POMS全因子と状態不安、最高血圧及び脈拍(仰臥位)は施術後有意に変化し、心理的負担や不安感の軽減、活力の増加、精神的ストレス低減の効果が認められた。マンダリンに比しラベンダーで、より強い鎮静や不安解消作用が認められた。不安や抑うつ気分、イライラ等心理的葛藤に対するアロマテラピーの改善効果は、特性不安が高く順応した子供(AC:Adapted Child)的性格特性を持つ者に、より顕著で、アロマテラピーに対し強い反応性を示す性格特性の存在が示唆された。

キーワード

アロマテラピー、ニオイ、循環、性格特性、心理検査(TEG,POMS,STAI)

施術報告

アロマテラピー施術によるストレス性不調の改善例

著者名 安珠
文献名 アロマテラピー学雑誌3(1) 19-27 (2003)

この施術報告はストレス性の日常的不調に対するアロマテラピー施術についてである。
本症例では、片頭痛、疲労感などは比較的早く消失したが、肩こり、胃の不快感など慢性的症状は数回の施術後でも残った状態にある。
この例を通して、精油、手技、施術の評価方法などアロマテラピー施術における要素の分析を試みた。また、心身医学を参考にしたアプローチ方法についても考察した。

キーワード

ストレス、心身医学、ボディワーク、アロマテラピー・トリートメント

研究ノート

医科大学の代替医療教育カリキュラムにおけるアロマテラピー意識調査と実習に関する報告

著者名 村上志緒、山本竜隆、林真一郎、吉田勝美
文献名 アロマテラピー学雑誌3(1) 29-34 (2003)

近年、アロマテラピーなど様々な代替療法への関心が高まってきている。 代替療法はCAM(相補・代替医療)として医療分野に導入されてきたが、最近では従来の西洋医学と代替療法を組み合わせ、個々の患者に最適な療法を提供する統合医療としての取り組みが始まり発展しつつある。
聖マリアンナ医科大学では、予防医学教育の一貫として、2000年よりCAMに関する講義と実習を行い、代替医療教育を開始した。 本報は2002年の同カリキュラムにおいて、代替療法のひとつとしてアロマテラピーを選択し、アロマテラピーに関する意識調査と実習を実施した結果についての報告である。

キーワード

アロマテラピー、代替療法、統合医療、医学教育