若いファミリー世代に人気のある街、東京都世田谷区二子玉川。多摩川河川敷から話題のショップが並ぶ駅方面へ向かうエリアに広がるのが二子玉川公園です。その一角を占める帰真園が、コンテストで受賞した「香りも楽しめる現代の日本庭園」の舞台。2013年の開園以来、区民の憩いの場として親しまれてきた日本庭園に“香り”という彩りを加えて、季節を五感で味わってもらおうというのが私たちの願いでした。

水と緑と香りに包まれる庭園は区民の憩いの場。

　受賞記念にいただいたフジやイブキジャコウソウは、住民の皆さんや東京農業大学の学生さんたちと植栽しました。そのフジが昨年見事な花を咲かせ、喜びもひとしおです。現在は、年に2回ほど「香りのプログラム」としてセミナーを開催。庭園を散策しながら目の前で咲く花が古典文学のどんな場面で登場するかを紹介するなど、香りに興味を持ってもらえるよう工夫しています。ビル風や乾燥など独特の環境による手入れの難しさはありますが、当地のビジターセンターや区と協力しながら、多くの方に香りを楽しんでもらえる庭園を守り続けていきたいと思っています。

（「セントスケープ・デザインスタジオ」小泉祐貴子さん）

日本自生の草花を植え、和の香りが漂う一角。	セミナーには幅広い年代の方たちが参加。