アロマテラピー検定・資格の認定、学術調査研究の実施

アロマの研究・調査

アロマテラピー学雑誌 Vol.1 No.1 (2001)

総説

アロマテラピーの科学的研究

著者名 渋谷達明
文献名 アロマテラピー学雑誌1(1) 2-4

アロマテラピーは長い歴史を持っている自然療法の一つと言えよう。わが国でもそれに対する関心はきわめて高い。そして精油やその効果などについて、近年科学的研究がだいぶおこなわれるようになってきた。しかし実際の施術における効能等については経験や口承によるものが多く、科学的な根拠が十分に示されていない。わが国でアロマテラピーを認めさせ、さらに大きく発展させるためには、関連する各科学的分野にわたる研究が不可欠であり急務と考えられる。そしてそれらを基盤として体系付けられたアロマテラピー学を大成させる必要があろう。

キーワード

科学的研究、精油、アロマテラピー学

医学部における代替医療教育とアロマテラピー

著者名 山本竜隆、吉田勝美
文献名 アロマテラピー学雑誌1(1) 5-10

近年、欧米などの先進国では代替医療の再認識・再評価が進んでいる。
この背景や現状を考慮して、2000年度より聖マリアンナ医科大学予防医学では医学部学生を対象に代替医療の講義と実習を開始した。内容は代替医療の世界の動向や問題点、可能性についての講義と、鍼、磁気治療、アロマテラピーの体験・実習である。
代替医療の教育にアロマテラピーを導入したのは、伝統医療の一つとして欧州での認知がされていることや学術的研究も広く行われていること。そして、総合的なサービス・全人的なケアが求めている。
(1)有効性(availability):役に立つこと
(2)近接性(accessibility):身近であること
(3)受容性(acceptability):受け止めやすいこと
の3要素に、より近い存在であり、多くの代替医療と現代西洋医学の接点としての重要な役割があると考えたからである。
今回、講義および実習の内容を紹介するとともに、統合医療に向けての、当教室の考え方や方向性を示し、アロマテラピーの重要な役割について整理した。

キーワード

アロマテラピー、統合医学、代替医療、医学教育

心療内科におけるアロマテラピーの現状と可能性

著者名 黒丸尊治
文献名 アロマテラピー学雑誌1(1) 11-15

人には誰でも自己治癒力が備わっている。
これには体の治癒力と心の治癒力が存在する。
心の治癒力をうまく引き出すことができれば、安心感、信頼感、自己効力感といった感覚が生まれる。それに伴い体の治癒力も高まり、その結果として症状も改善される。
一方、心の治癒力の発現を妨げる要因もあり、それが感情の抑圧と「こだわり」である。また心の治癒力をうまく機能させるためには、努力ではなく適切な「きっかけ」が必要となってくる。
アロマテラピーも、その「きっかけ」のひとつになりうるが、適切な精油の選択と正しいマッサージを行うだけでは不十分であり、それに加え、患者の心地よさを十分に引き出すことができる治療的コミュニケーションの技術も必要となってくる。
現在、アロマテラピーを取り入れた治療を行っている心療内科は、まだまだ少ないのが現状である。今後、アロマテラピーを積極的に取り入れていくためには、このような視点を持ったセラピストが数多く育成されることが重要となってくる。

キーワード

アロマテラピー、心療内科、自己治癒力、心の治癒力、代替、補完医療

原著論文

精油の安全性に関する研究(1) ラバンジュラ属精油の微生物生育阻害について

著者名 野田信三、小林史枝、安東由紀子、岡崎渉
文献名 アロマテラピー学雑誌1(1) 16-21

ラバンジュラ属精油とその香りが微生物生育阻害に与える影響について検討した。
精油の香り、すなわち揮発成分については、寒天培地に大腸菌IFO3972及び枯草菌JCM2449をそれぞれ塗布し、揮発成分が直接当たるようにして32℃で培養し、その影響を調べた。また、精油そのものの影響については、ペーパーディスクを用いた溶液法により評価した。
その結果、L. Latifoliaに高い微生物生育阻害が認められた。

キーワード

ランバンジュラ属精油、生育阻害、大腸菌、枯草菌、芳香

施術報告

アロマテラピー施術の効果と留意点

著者名 梅原みずほ
文献名 アロマテラピー学雑誌1(1) 22-24

アロマテラピートリートメントはクライアントの数だけ施術方法もあり、奥の深い魅力がある。しかし、現在の日本においては一般の人々へのアロマテラピートリートメントへの認知度はまだ低い。クライアントに正しくアロマテラピートリートメントを理解してもらうことと、信頼関係を築くことはとても重要である。それがよい効果へ繋がることを2つの症例を通して述べる。

キーワード

アロマテラピートリートメント、にきび、花粉症、アトピー

研究ノート

日本におけるアロマセラピストの現状

著者名 堀口麻里
文献名 アロマテラピー学雑誌1(1) 25-27

現在さまざまなアロマテラピーの資格があり、アロマテラピーを仕事にしたいと希望する人が、ここ数年、急増している。希望者からよく質問されることに「資格取得後、仕事があるのか」ということがある。本研究では、資格取得後にはどのような道や可能性があるのかその現状についてアロマセラピスト就業実態調査を行ったので報告する。

キーワード

アロマセラピスト、資格、仕事

更年期におけるQOLの向上に関する研究I ―ラベンダー水による痒みを伴う湿疹の緩和―

著者名 田中千佐子
文献名 アロマテラピー学雑誌 1(1) 28-30

48歳の女性が湿疹による下肢の痒みの更年期障害に悩まされている。 彼女は月経不順とホットフラッシュ(カーっと突然身体が熱くなる典型的な更年期症状)でホルモン投与を受けている。ホルモン療法はそれらの症状を抑えてはいたが、痒みは依然続いていた。3カ月間、ステロイド軟膏を塗り続けても湿疹と痒みはおさまらず、お風呂に入るとそれらはますますひどくなった。彼女は痒みによるイライラと不眠を取り除くため、アロマテラピーを始めたがった。 彼女の場合、1%のラベンダー水を浸した滅菌ガーゼを1日に2回、10分間ほど患部にあてたそれを2週間ほど続けると湿疹と痒みはおさまり、4カ月後にも湿疹と痒みは出ていない。ラベンダー水を浸したガーゼを使うのは、皮膚に接触させ続けることで患部をクールダウンさせるためである。

キーワード

湿疹、かゆみ、ラベンダー水、ガーゼ、更年期

アロマケアに関する研究(1) 老人保健施設における精油の香りとハーブティーの嗜好調査

著者名 米谷和江、平淳子
文献名 アロマテラピー学雑誌1(1) 31-34

高齢者や障害児(者)、病人などの施設においても精油やハーブを活用した介護が行われるようになった。
アロマテラピーを円滑に導入するためには介護される側の嗜好性を把握することが重要である。精油3種(ローズマリー、ゼラニウム、ベルガモット)と3種のブレンド・ハーブティをある高齢者施設において嗜好調査を実施した。 精油では、一般的には香りが強く好みの差が激しいゼラニウムが1番人気であった。ハーブティーはほうじ茶とブレンドしたイチョウ葉が支持された。

キーワード

ハーブ、高齢者、精油、嗜好、老人保健施設