2021.11.1

患者さんにも、医療者にも
やさしい環境をつくりたい。

プロフィール

山崎彩さん

(看護師/神奈川)

  • アロマブレンドデザイナー
  • アロマハンドセラピスト

「手と目で看る」という看護の考え方に共感し、患者と触れ合うことのできるアロマハンドセラピーを積極的に学び、実践している。また、よりよい医療を提供するため、医療従事者の健康維持・向上を図り病院内のアロマ環境促進にも力を入れている。

呼吸することは、生きることの基本

「人は息を吸って、吐いて、呼吸して生きている。その基本の動作が阻害されると、一番苦しいんだよ」。看護学校で学んでいたときに先生から言われたひとことが、今でも耳に残っています。私は子どもの頃から気管支が弱く、しょっちゅう病院へ通っていました。また、祖父が脳梗塞により入退院を繰り返していたこともあり、医師や看護師はとても身近な存在で、看護の道に進んだのはごく自然な流れだったと感じています。はじめは「祖父のような病気の人を助けたい」という思いから脳神経外科に入局したのですが、人工呼吸器などを扱ううちに呼吸器疾患についてもっと知りたいと思うようになり、肺に特化した医療にも力を入れている現在の病院に移りました。「一番苦しい」と聞いた呼吸器の病気の患者さんを少しでも楽にしてあげられたら……そんな想いで、日々の看護に励んでいます。

アロマも看護も、
“その人らしさ”を大切に

昔から母がときどきラベンダー精油を使っていて、実家のタオルはほのかにラベンダーの香りがしていました。子どもの頃は気にも留めていなかったのですが、大人になると、それが「安心する香り」に変わっていって。精油に対する興味から、アロマの資格を取得しました。

入院中の患者さんは、日々が単調になりがちです。そんな時は香りで気分転換していただいたりして、今では看護の仕事にもアロマの学びが活きています。ただ、不眠に悩む方には「リラックスできる香りを」と考えていくつか精油を持っていくと、意外な香りが選ばれることもあって。香りの好みや感じ方は人それぞれだなと実感するとともに、一般的にいわれる効果・効能だけで判断するのではなく、“その人”との対話の中で見つけるケアの大切さに気付かされます。これは医療にも通じて、病気だけでなく“その人”全体を見ることで問題の解決につながることもあるのです。アロマテラピーのホリスティックな考え方を実践することで、「医療とは、看護とは」と見つめ直すきっかけにもなっています。

患者さんに寄り添うために、
医療者側のケアも重要

病院では、医師や理学療法士、栄養士、メディカルソーシャルワーカーなど、さまざまな専門家がタッグを組み、治療のためにベストを尽くします。その連携をサポートすることも看護師の役目。患者さんが不安を抱えたり、孤立したりしないように、患者さんの心に寄り添う看護をするためにも、まずは自分たちが心身共に健康でいなければなりません。

現在はコロナ禍ということもあり(2021年10月)、医療者の健康を気遣うためにも、ナースステーションではユーカリやペパーミントといった抗菌・抗ウイルスを意識した精油を活用しています。医療現場では、自分を責めたり、悔んだりする医療者も多いので、モチベーション維持のためにもリラックス作用のある香りを役立てられたらと考えています。いつ、どんな時でも「ここに来れば安心」と患者さんに感じてもらえる病院であるために、アロマのある環境で病院内の雰囲気をよりよくしていければ、と思っています。

※記事はすべて取材当時の情報です。

プロフィール

山崎彩さん

(看護師/神奈川)

  • アロマブレンドデザイナー
  • アロマハンドセラピスト

「手と目で看る」という看護の考え方に共感し、患者と触れ合うことのできるアロマハンドセラピーを積極的に学び、実践している。また、よりよい医療を提供するため、医療従事者の健康維持・向上を図り病院内のアロマ環境促進にも力を入れている。

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