仕事に活かせる実用的な知識として
アロマテラピーを導入
日本工学院の鍼灸科・美容鍼灸コースでは、鍼灸の専門的な知識や技術を身に付けると同時に、治療に対する視野を広げてもらう目的でアロマテラピーを取り入れており、生徒が自由に参加できるアロマテラピー講座の開設と、アロマテラピー検定1級資格の取得推進を行っています。美容鍼灸は局所的な対処ではなく、全身の気を巡らせ身体本来の力を高めることで最終的に美しくなったり、アンチエイジングしていこうという考え方で、アロマテラピーと共通する部分が多くあります。仕事に活かせる実用的な知識として生徒に教えられるように、教員側も全員アロマテラピー検定1級もしくはそれ以上の資格を保持して取り組んでいます。
鍼灸師としての幅を広げ、
社会で活躍してほしい
美容鍼灸コースは、元々は放課後のクラブ活動として発足しました。今でこそメジャーになった美容鍼灸ですが、2005年当時は一部のハリウッド女優の間で流行していたくらいで一般にはあまり知られていませんでしたので、取り組みとしては先駆けだったと思います。その後、身体が本来持っている力を活かし、伸ばしていこうという考え方が浸透するとともに、美容鍼灸へのニーズも高まり、2016年に正式にコースになりました。いま若い人たちもどんどん鍼灸の世界に入ってきて、今後は競争も激しくなると思います。アロマテラピーのしっかりとした知識や技術を持つことは、鍼灸師としての幅を広げ、将来プロフェッショナルとして社会に出た際の大きな強みになると考えています。(山下 俊樹さん)
知識や技術とともに、
感性を磨くための学びがある
鍼灸師として漢方薬について学びましたが、アロマテラピーも植物の成分を利用することから、以前より興味がありました。漢方の世界では、ミカンの皮は「陳皮」という生薬で停滞している気を巡らせストレスを緩和、また胃腸を整える効果などがあります。同じ柑橘系の精油にも近い作用があるのではと関連づけて考えたり、漢方とアロマテラピー、双方で補完し合いながらより深い学びを得ています。また、アロマテラピーを学ぶことで鍼灸師として必要な感性も磨かれるんですよ。私たちの仕事は、患者さんの微妙な変化や痛みへの反応を素早く察知しなければなりませんが、アロマテラピーで自分の体調と向き合ったり、香りの感じ方に敏感になると、自然とそうした対応力が身に付きます。生徒には、知識や技術はもちろん、患者さんひとりひとりと丁寧に向き合える、相手の気持ちを慮れる医療人として卒業していってほしい。そのためにも、アロマテラピーから学ぶところは大きいと思っています。(奥山 夕記子さん)
問診から施術まで。
鍼灸と併用したアロマテラピーの活用
臨床の現場では、患者さんとの会話の中で治療の重要な手掛かりを得ることも多く、そうした時にアロマテラピーの知識が役立ちます。ストレス性の不調など、症状を言葉で説明するのがむずかしいときに、患者さんがそのとき好む香りで対処すべき問題が分かったり、見えなかったアプローチが見えてくることもあるんですよ。また、美容鍼灸は顔に鍼を打つので、施術前や施術中の緊張を和らげるという意味でも香りを積極的に取り入れています。アロマテラピーを問診から施術まで幅広く活用し、鍼灸と併用していくのであれば、正しい知識を体得していくことが必要になります。教育者としてその姿勢を示すためにも、学びを深め、アロマテラピーでもさらに上の資格を目指したいと思っています。(岡本 岳大さん)