STORY01

あるアパレルのイベントをお手伝いしたとき、1枚の写真に香りの演出をしたんです。水平線が一直線に伸びた海の写真で、そのときは何気なく手にとった精油で香りをつくったのですが、私にとってその香りは、どんな言葉を尽くすよりも“海”を表していました。写真を見て香りを嗅いだ方からも「この海のイメージそのものだね」と言われて。そのとき、香りは癒しだけのものではなく、自分が意識の奥底で感じていることを知り、それを表現したいときに役立つツールでもあることに気づいたんです。 これをきっかけに写真や音楽に香りをつけて欲しいという依頼が舞い込むようになり、さまざまなモノやコトを香りで置き換える“アロマスタイリスト”として主に活動しています。

STORY02

社会生活を送っていると、人はいろいろな顔を持って暮らしていますよね。仕事の顔、家族の顔、友人といるときの顔……、核になる本来の自分が色んな顔となって表に出てくるのだと考えています。
ところが、表に出てくる顔ばかり意識していると本来の自分を見失い、それが身体の不調となって表れるような気がするのです。周りを見渡すと、そうした不調を抱えている人が意外と多いのではと感じました。香りが“自分の意識下の感情に気づかせる鍵”であるという認識は、「本来の自分の声に耳を傾ける」というワークショップのアイデアにもつながり、アロマスタイリストの活動のもうひとつのアプローチになっています。

STORY03

ワークショップに集まっていただいた方には、好きな絵や写真に合わせて香りを選んでもらい、その人がいま心の奥底で感じていることを一緒に眺めます。そして、例えばジャスミンの精油を選んだら「心の平穏を求めているんだな」とか、ローズを選んだら「いま愛情を大切にしているんだな」とか、推し量りながら共有します。まずはインスピレーションで香りを選んでもらい、後から精油の作用を結び付けて心の状態をお伝えすると、自分でも気づかなかった気持ちやストレスと思いがけず向き合うことになり、笑顔になる方や、涙を流す方もいらっしゃるんですよ。

STORY04

「自分の内なる声を聞く」というと、スピリチュアルなワークショップに思われるかもしれませんが、香りが本能で欲しているものを表すというのはむしろ物理的な現象で、身体の中で起こっていることは、嗅覚と脳の関係や解剖生理学の観点から説明することができると考えています。ただ、身体の発する声と香りの作用をどう紐づけ、何が足りないのかを的確に言葉でフィードバックするためには、幅広い関連知識やコミュニケーション技術も必要です。言葉は理性というフィルターを通すので、本能(香り)で感じたことをありのままに表現するのが難しいときもありますが、言葉と香りをうまく結びつけ、理性と本能の間に補完関係がつくれれば、本来の自分を押さえつけることなく快適に生活していけると思うのです。そのための実験的なワークショップや、モノ・コト・ヒトを香りでスタイリングするスキルをもっと上げる勉強を続けていきたいと思っています。

AEAJ 公益社団法人 日本アロマ環境協会

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