現在、女性総合診療のクリニックでダイエットやホルモンバランス改善のカウンセリングや、講演を通じて「健康行動」を促しています。身体を「変えたい」という患者さんには、知識を蓄えて意識的に取り組もうとされる方も多いのですが、私はもっとナチュラルに、「毎日の歯磨き」くらい自然にできることを生活に取り入れるようお勧めしています。無理をすると気持ちが続かないばかりでなく、脳にストレスを与え、身体にも負担をかけてしまうからです。そうしたシンプルなロジックを、日々の活動の記録と身体のデータをつけてもらうことで実感してもらえるようにしています。身体にとってよいことは、人それぞれ、身体の状態によっても違います。まずは患者さん自身が自分の身体をきちんと理解し、その上で「今やるべきこと」をプロの立場からアドバイスし、スムーズに行動に移せるよう手助けするのが私の役割だと思っています。

以前、管理栄養士として日本オリンピック委員会の医科学スタッフに加わり、海外遠征に帯同したとき、外国の選手が精油を嗅いで集中力を高めているのを見たのがアロマとの出合いでした。同時に、実は私自身も選手の食事を作るとき、香りを活用していたなと気付いたんです。食材が限られる遠征中や、激しい練習の後に食べられる消化のよい献立となると、マンネリなメニューになりがち。そこで、少しでも美味しく食べてもらおうと柚子やカレー粉でアクセントをつけると、練習で疲れ切った選手たちの表情が一瞬輝いて、食が進むんですよね。それ以来、食物の成分だけで献立を考えるのではなく、「食べたい」という気持ちを起こさせつつ、消化液の分泌を促してくれる香りの成分も大事な栄養素の一部として食材を選ぶようになりました。

「香りも身体に影響を与えるんだ」と知り、ジンジャーやシソ、マージョラムやオレガノなどハーブ類も含めて、食事に活かすという観点からアロマをもっと掘り下げてみようという気持ちになりました。日本でも頭痛のときに梅干しをこめかみに当てるとか、喉の痛みにはネギを巻くなど「おばあちゃんの知恵袋」がありますが、アロマテラピーはそのヨーロッパ版といえます。勉強を進めるうちに、そうした伝承法的な健康法も、因果関係の理論を伴ってきちんと理解できるようになり、身体の仕組みと食の関わりを説明する職業柄とても興味深かったです。アロマテラピーインストラクターの資格取得後は、日々のカウンセリングのツールのひとつとしてアロマを活用するなかでも、体系立った知識に基づき「なぜそうなのか」が説明できるので、患者さんからの信頼感も増します。また、フリーランスで仕事をする上で、自分の見識を裏付けてくれる資格の存在はとても心強く頼もしいです。

働く女性や自分の時間が取れない世代の方々でも、日常生活のなかで健康行動を増やしたいときにアロマが活躍します。食欲がない、やる気が起きないなどネガティブな思考に陥ったとき、香りで脳から「行動のスイッチ」を入れてあげるのです。特に女性はちょっとした外出でも、「出かける前の段取りが大変」という理由でなかなか行動に移せない場合があります。すると今度は「出来ない自分」を責めたり、焦ったり。そんなときはアロマを嗅いで、沈んでいる気持ちをアクティブに、緊張した身体にはリラックスを促します。精油を希釈して肌に塗るトリートメントにはまた違った作用が期待できますが、パッと気持ちを切り替えたいときには、むしろ「嗅ぐだけ」の方が瞬時に作用するので役立つでしょう。こうした目的に応じた精油の使い分けなども、そのメカニズムから説明できるので、まだアロマを使ったことがない患者さんにも興味を持っていただけますし、毎日の生活に無理なく取り入れていただく機会が増えています。

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AEAJ 公益社団法人 日本アロマ環境協会

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