検定のお申し込み

エグゼクティブ シェフパティシエとしてこのホテルに着任してから、1年ほどになります。メインの仕事はデザートの商品開発ですが、そのときは朝から晩まで、ずっと新しい商品のことばかり考えてしまいます。夏であればさっぱりと口溶けのよいもの、冬には少しコクのあるものというように、まずはお客さまが召し上がる季節を念頭に素材を選び、形状を決めていきます。また、よいものを使えば美味しくなるのは分かっていますが、高い素材ばかりを使うと商品の価格も跳ね上がってしまいますので、コスト管理も重要です。そして一旦レシピを決めても、温度や湿度によって微妙に水分量を変える日もあります。 表からは見えない部分でいろいろと苦労もありますが、自分が考案したデザートがショーケースに並ぶ瞬間は、毎回何ともいえない気持ちになりますね。

新しいデザートのアイデアを探していたとき、偶然アロマテアラピーの広告を目にして、「これだ」と思いました。漠然と香りという要素がお菓子づくりに活かせないかと考えていたのですが、何からはじめてよいか分からなかったので、とりあえず検定を受けてみようと思ったんです。勉強をはじめたときは、「これが実際のお菓子づくりに役立つのだろうか」と思う気持ちもありましたが、香りについて幅広く学んだことは予想以上に仕事に影響を与えています。
デザート自体に精油を使用することはありませんが、お皿のふちに数滴置いて香りの演出をしたり、何か足りないなと思ったときに、例えばレモンやオレンジの皮などで、味は加えないけれど香りでシャープさを出したり、「最後に香りで調整する」という発想が生まれるようになりました。また、コンクールで審査員にアピールするときにもアロマの知識が役立ちました。

香りの成分について学んだことは、新しいデザートを考案するときの素材選びにとても役立っています。これまでは勘と経験から、「合いそうだな」と思うものを選んで試作を繰り返していましたが、いまは予め頭の中で素材をグループ分けしてから取り組めます。アーモンドと合わせるなら、同じベンズアルデヒドという香気成分がはいった杏子を使ってみよう、というように。
最近は紫蘇(しそ)やバジルなど香草をデザートに取り入れています。梅干しにはたいてい紫蘇が入っていますよね。そこで梅と同じ香りの成分を持つフルーツを合わせてみると、やはり紫蘇と相性がいいんです。はじめは「紫蘇のデザート?」と首をかしげるお客さまもいらっしゃいますが、フルーツの香りが全体をまとめ、トータルで素材の味を引き出してくれるので、「美味しい」とご好評いただいています。

お菓子づくりは、とても繊細な作業です。素材を合わせる手順によっても、味や食感の印象が変わります。ケーキのスポンジに香りづけを行う際、以前はすべての素材を混ぜた後にヴァニラエッセンスを加えていたのですが、検定の勉強で「香りの成分は油に溶けやすい」と学んでからは、バターに練り込んでから生地に合わせるようにしました。そうすることで香りが均一にいきわたるんです。「なぜそうなるのか」分からずに試行錯誤を重ねていた作業が、香りの基礎を学んだことで、因果関係がクリアになり効率化が図れるようになりました。
香りには、一瞬でその場の雰囲気をパッと変えてしまうチカラがあります。お客さまの目の前でデザート作りをする機会もあるのですが、今後はそこに香りを取り入れることにも挑戦したいですね。最高の「美味しい」を誘い出す香りのプレゼンテーションは、とても効果的だと思っています。

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AEAJ 公益社団法人 日本アロマ環境協会

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