柔道整復師は、骨折や脱臼、筋肉の損傷などに対して、主に接骨院などで施術を行うことができる国家資格です。直接的な治療は病院で行われますが、その後患者さんが通常の生活に戻れる状態になるまでをサポートするのが役目。柔術をもとにその施術法が考案され、“整復”は骨や筋肉を解剖学的な位置・状態に戻すことを意味するんですよ。高齢化に伴って介護分野でもニーズが高まっており、また、アスリートを支える職種としても人気があります。体力を必要とする仕事・男性中心のこの業界にあって、女性の柔道整復師として将来を考えた場合、何か強みを持ちたいなと思ってアロマテラピーを学び始めたんです。

アロマテラピースクールで深く学ぶうちに、アロマテラピーは自分の施術に足りなかったものを補ってくれるのだと気付きました。柔道整復師は、手技や運動療法を用いて基本的には患部のみ施術します。しかし、患者さんにとって重要なのは怪我や痛みの原因を取り除くことで、それには患部だけでなく、ご本人の精神状態も含めた全体を見直すことが必要だと感じていました。私は鍼灸師の資格も持っているので、必要であれば施術後に鍼灸で気をめぐらせ全身の状態を見るよう心がけてきましたが、そこにアロマテラピーを取り入れることで、心と身体、すべてのバランスを整えるところまで関われるようになったのです。同じ骨折でも、患者さんの年齢や生活環境によってアプローチはさまざま。より多くの選択肢を持って回復のサポートに当たれることで、結果的にアロマテラピーが、他の柔道整復師とは違う私の強みになっていると思います。

現在は、大学併設の医療施設で柔道整復の施術を行いながら、教員として医療従事者を育てています。関西医療大学では4年生の選択授業でアロマテラピーを採用しており、2017年からはスポーツアロマのカリキュラムも始まりますが、大学全体、医療業界全体ではまだまだアロマテラピーは受け入れられていません。アロマテラピーへの理解を深めてもらうには、体験してもらうことが一番だと思うのです。例えば、看護学部で月に一度開かれる“ナーシングカフェ”では、教員と学生が医療のさまざまな課題について話し合い、ワークショップなども行っているのですが、そこで地域の方々を対象にアロマハンドトリートメントができないかと考えています。開かれた医療施設として大学と地域が交流を深めるとともに、アロマテラピーを体験した方々の反応を大学側へフィードバックすることで、より積極的なアロマの活用を導き出せればと思っています。

治療や施術という場面ではなくても、医療現場でアロマを扱うのがもっと当たり前になって欲しいんです。大学院では、接触感染しやすい菌を対象に、抗菌や感染予防にアロマがどれだけ有効かという点について修士論文を書きました。アロマの実用的な利用法を挙げ、医療関係者にアロマテラピーの有用性を示したかったのです。しばらく研究からは遠ざかっていますが、アロマテラピーを知ってもらう努力はこれからも続けたいと思っています。
そして学生には、なるべく広い視野で医療を捉えてもらいたいという意味で、積極的にアロマテラピーを学んでいって欲しい。学校を卒業して、さまざまなケースに直面したとき、私たちを取り巻く環境すべてを包括的に考えることのできるアロマテラピーの知識が、医療従事者としてきっとどこかで役立つと信じているからです。

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AEAJ 公益社団法人 日本アロマ環境協会

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