都会の中でずっと生活したり、仕事をしたりしていると、ときどき息が詰まりそうになりますよね。そんなときは、近くの公園でジョギングしながら緑に触れてリフレッシュしますが、まとまった休みが取れると山へ行きます。
10年くらい前にネパールの山を訪れてから、大自然の中で過ごす気持ちよさに目覚めて。以来、スリランカやネパール、最近ではアラスカの荒野でキャンプをしました。本格的にアウトドアを楽しもうというよりも、山が好きな友人と遊んだり、山で暮らす人たちを訪ねたりしているうちに、徐々に山との付き合い方を覚え、いつの間にか山と自分を切り離せなくなったという感じでしょうか。

山の魅力に気づいたのと同じ頃、近所に住むアロマテラピーの先生と知り合い、好奇心から週に一度教えてもらっていました。もともと香水などの強い香りは苦手だったのですが、学ぶうちに、自然の香りは心地よいのだなと知って。また、心地よいと感じる香りは、自分がその時必要としている香りなのだということも勉強して分かりました。私は舞台の稽古に入る前、出演者の皆さんと初めて“顔合わせ”をするときが一番緊張します。台本読みに集中したいけど、肩の力は抜いていたい。そんな場面で、好きな香りのフランキンセンスを嗅ぐようにしたら、ふっと研ぎ澄まされると同時にリラックスできたんです。それ以来、アロマを身近に感じています。喉や鼻の通りが悪いときに、コットンにユーカリ精油を含ませて服の中に入れておき、呼吸の手助けをしてもらうこともあるんですよ。

10代や20代の頃は、ファッションやアートが興味の中心でした。もちろん今でもそうした刺激は好きですし、自分の暮らす場所は街の中にあると思っていますが、山と出合ってからは、自然の中の刺激が心地よいと感じるようになりました。自然の中では、物資的な力ではどうにもならないことがあります。急な天候の変化などに直面し、「もう身を任せるしかない」という状況になると、普段眠っている感覚が活性化するんですね。身体が欲するものが直感で分かるようになるというか。そんな体験をして街に戻ると、いろいろなものとの距離の取り方が楽になりましたし、世の中にあふれるモノや情報への接し方も以前より優しくなれた気がしています。

30代になり、身体にも変化を感じるようになって、意識的にマクロビオティックやアロマテラピーを取り入れていた時期がありました。けれど、健康のために「~しなければ」や「~してはいけない」などと考えるとかえって健康的でなくなってしまう気がして。まずは美味しいものやいい香りを純粋に楽しむことが大切だと思い直し、“楽しいから”続けているうちに、生活の中にも自然とゆとりが生まれ、今では無理せずリカバリー出来ています。
役作りをするとき、私は瞬発力で動くより、じっくり観察して、ゆっくり理解するタイプなんです。自分の役と向き合いつつ、全体を見ながら少しずつ仕上げていきます。いまでも最初の“顔合わせ”が一番緊張しますが、いつもカバンに忍ばせてある好きな香り、フランキンセンスやネロリとともに深呼吸するだけで、いつもの自分を取り戻せます。

AEAJ 公益社団法人 日本アロマ環境協会

PAGE TOP